支援活動(ボランティア)の報告E

 一旦竹駒まで迂回して大東町へ向かいます。
 辺りは穏やかな風景です。
 空も快晴。
 全てが整っているように感じられました。

 

 仙人峠のループ橋も健在でした。
 ループ橋のある国道343号線はかつての「塩の道」。
 古くから奥州街道と陸前高田市を結ぶ重要なルートです。
 このルートに被害がなかったことは幸いでした。
 

★ ★ ★

 大東町は陸前高田市と一関市のちょうど中間に位置しています。
 ここに避難している親戚宅へ寄り、いろいろと話を聞きました。
 この親戚は陸前高田市で江戸時代より醸造業を営み、有機栽培の原料で作った味噌や醤油を全国へ流通させていました。
 震災当日も店や工場で多くの従業員が働いていましたが、社長の指示に従い市の定めた避難所よりも高い場所へ逃げ、全員が難を逃れたとのことでした。
 
 従業員の家族には犠牲者が出ています。
 会長の妹も未だ見つかっていません。
 会長は妹の遺体を捜して、全ての安置所を何度も回ったそうです。
 一つ一つの遺体にかけられている布をめくって顔を確認します。
 知っている人の顔ばかりだったそうです。
 「ああ、この人もダメだったか…」、「この人もか…」
 手を合わせては布を丁寧にかけ、隣の遺体に対面します。
 この無言の作業を延々と繰り返していったということでした。

 「家が流されたのか、それだけで済んでよかったなぁ…と、こんな会話をするんだよ。
 分かるか?
 皆、家を失い、財産を失い、家族を失い、仲間を失い、仕事を失った。
 今回の災害がどんなに酷いものか、分かるか?」

 それでも、皆、生き続けています。
 被害者ではなく、新しい人生を築く開拓者として。
 
 「気仙町や今泉で青い芽がたくさん出ていたのを見ただろ?
 あれはウチが原料として貯蔵していた小麦が流されたものだ。
 小麦は海水に強いんだなぁ…」

 

 上の写真は前日に今泉の金剛寺で撮ったものです。
 確かに若々しい緑がたくさん芽吹いていて、私たちも目を奪われました。
 
 海水をかぶった土地は、これから活用できるのかどうか、未だ分からないとのことです。
 それどころか、堤防が全壊してしまっているのですから、また津波がくれば冠水してしまいます。
 命の危険もあります。
 
 それでもなお、ある者は変わり果てた街に残り、ある者は安全な地区に避難しながらも、陸前高田市や近隣都市の復興に注力しています。
 環境や条件は違っても、復興を願う心に変わりはありません。
 かつて自分の家があった場所の瓦礫を見つめながら、人々は職場や学校へ向かい、新しい希望への道を歩き出しています。
 また、ある人々は、海水をかぶった土地や狭い場所で穀類や野菜を栽培しようと頑張っています。
 皆、何か出来ることがある、新しい方法があると、前を向いて進んでいます。

★ ★ ★

 このたびの支援活動を無事に終えられたことを、皆さまに感謝いたします。
 チャリティー気功にご参加くださった方々、支援金・支援物資をお送りくださった皆さま、お励ましのお言葉をくださった皆さま、ありがとうございました。
 同行スタッフ全員、皆さまお一人お一人の心をお伝えするつもりで物資を届け、被災者の方々とお話をしてまいりました。
 
 また、Pneumaの木下晴哉先生からも、お心のこもった大量の物資をご支援いただきました。
 心より感謝申し上げ、以下に物資を記載させていただきます。
 @ 液体ムヒ 20本
 A ドーパパスロリーゼ(除菌防臭製剤) 15本
 B 虫除けスプレーひんやりクール 30本
 C 急速冷却パック20個入り  5箱
 D ハエトリ神 20個
 E つぶプッチ(幼児用玩具) 2箱
 F ダイヤブロック バケツ(幼児用玩具) 3個
 G ダイヤブロックソフト ギフトセット(幼児用玩具) 4個

 ★ ★ ★

 被災地は確かに天の気に守られ、大地からは新しいエネルギーが湧き上がっていました。
 人々も笑顔を取り戻しつつありました。
 けれども、未だ復興の具体的な道は決まっていません。
 暗中模索の中での試行錯誤です。
 これからも長期に亘っての物質的・精神的支援が必要です。
 
 今こそ私たちが心を一つにして、真に豊かで平和な日本を創るときが来ました。
 心を寄せ、共感し、行動するときなのです。
 私たちにはその力が与えられたように感じられます。
 未曾有の災害が、私たちの計り知れない心のエネルギーを引き出したのです。
 新しい日本へ向かって、皆で支え合って進んでいけるよう祈っております。

 陰陽気功(優気)では、引き続き陸前高田市を中心とした被災地の支援を行なってまいります。
 皆さまのご理解とご協力を、何卒宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
 美しく穏やかな広田の海、ありがとうございます。

 完。
 
 なお、事実の概要につきましては、石倉が記しましたブログ「いざ陸前高田」をご覧ください。


|topへ戻る|